悶絶!ちょちょぎれ涙丸

七山さんのいろいろかきのこし

よくわからん文章

 

 

たとえば祖父の庭に咲くリンドウが本当にリンドウなのか果たして桔梗かもしれない、それは知識がないからである。

私が木々の隙間に見たのは虹色の羽を持つ天使だったかもしれないしアブラゼミかもしれない。

紡いで行った言葉の中には嘘とか情とか暇つぶしとか色んなものが横たわっているけれどそれは果たして私の言葉であるのか吐いた先からわからないものになってしまう。

世界には知らない事ばかりで知った気になった友人の性格や恋人の指先などちっぽけなもので仕方なくあれはリンドウだろうかとめくった図鑑が重くのしかかる膝に厳しい夏の日差しがかかったまま、知れば知るほどにおもしろい人生などこの世にあるのかどうか。

考えれば考えるほど後ろめたい過去に追いやられた夜、月がぼんやり薄らいでいくまぶたの重いその夢で、空を飛んだってマンドレイクには出会えない日々を過ごした。